むかし、宮本の了源寺に宝海聖人というりっぱな僧がいた。聖人が朝夕お経を上げる時になると、いつもどこからか大きな亀があらわれ、お経を聞いているようであった。
ところが聖人が亡くなると亀もぷっつりと姿を見せなくなってしまった。人々は不思議なこともあるものだとうわさし合っていた。
そのころ、石工の名手才次郎はこの話を聞いて感心し、亀の姿を石にほりつけた。その石亀は今も了源寺の庭に残されている。